■今週の気になるニュース
ウイグル問題で米税関がユニクロシャツの輸入を差し止め
先週19日に米国の税関がウイグル問題を理由にユニクロのシャツを輸入させなかったとのニュースが流れ、株価が急落。5/6には93,000円だった終値は、5/20に83,880円と10%ほど下落しています。
先日の決算発表前の3/2には一時110,500円の上場来高値を付けたものの、その後、決算発表会見で柳井さんが記者からのウイグルの人権問題に関する質問に対し、「政治的には中立な立場でやっていきたい。ノーコメントとさせていただきたい」と回答してしまったことも影響し、下落基調にあったところに今回の件でさらに急落。3/2の上場来高値からは約25%の下落となっております。
このニュースを読んでいて、先日読んだ平井宏治さんの経済安全保障リスクを思い出し、政治的に中立な立場でビジネスをしていくなんて都合のいいスタンスでは、今後中国でビジネスをしていくのは難しくなってきており、日本企業もついに中国問題と真正面から向き合わなければいけなくなってきていることを改めて感じました。
■経済安全保障リスク 米中対立が突き付けたビジネスの課題 – 平井 宏冶 (著)
この本のトピックの中心は、M&Aの観点から経済安全保障のリスクを説明しているものでしたが、M&Aだけでなく、今後中国とビジネスをしていく際には常にどのように付き合っていくかを想定しておかなければならず、今回のユニクロの件はいい例だと思います。
以下、この本で紹介されていた内容です。
<中国の軍民融合政策>
中国共産党の軍民融合政策のもと、中国企業が世界中でM&Aをしまくり、手段を選ばずに世界中の高度な技術を手に入れて、その技術が中国で軍事転用されて兵器開発に使われている可能性が高い点に関し、日本企業はもっと警戒する必要があります。
<株式投資におけるリスク>
中国は、2010年7月に中国共産党がひとたび有事だと判断する事態が発生すれば、日系企業の中国子会社も含め、中国のあらゆる組織のヒト・カネ・モノの徴用を合法化しまうされて「国家動員法」を制定しています。
つまり、中国共産党が有事であると言い出した時点で、日本企業の中国における資産が中国政府のものとなり、また日本人出向者は人質になる可能性があるのです。
保有銘柄の会社が、中国で積極的な事業を展開しており、中国内に資産がたくさんある場合、一夜にして損失に変わる可能性があるのです。これは怖いですね。。。
<中国製造一本足のリスク>
そのため、中国に製造拠点があり、一本足打法になっている会社の株は買うのは出来るだけ止めておこうと思ったら、今保有している自転車販売のあさひは、PB商品を中国で製造しており、ちょっと不安ですね。
あさひの有価証券報告書を確認したところ「海外事業戦略には、現地において、政治、経済、社会の変化等の予期しない事象により、事業の継続が困難になる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。」との記載がありました。。。はっきりとは書いていませんが、この予期しない事象って中国共産党の意向という意味とも読み取れます。含み損があるので今は売りませんが、タイミングを見てあさひの保有株数を減らしたいと思います。
<脱中国製造を進める日本企業>
逆に中国での製造を止めて脱中国製造を進めている企業がないのか調べたところ、日本政府の脱中国製造への補助金もあり、以下の会社が中国から日本国内、もしくは東南アジアへの製造拠点移転を進めているそうです。
- 信越化学
- HOYA
- 塩野義製薬
- テルモ
- カネカ
- 明電舎
- シャープ
- 沖電気
- 住友ゴム
- シャープ
- サラヤ
- アイリスオーヤマ
2019年まではパンデミックが起こって飛行機に乗る人がいなくなる世界になるなんて夢にも思わなかったので、世の中、何が起きるか本当にわかりません。ということで中国依存度が高い企業の株よりも、脱中国を進める上記の会社の株を買っておいた方がいいのかもしれません。
<動画>
ネットで検索していたらたまたま著者の平井さんがこの本を紹介している動画を見つけましたので、こちらをご覧いただければだいたいどんなことが書いている本が理解出来ると思います。動画だけでも十分ですが、本にはもっといろいろな詳細情報が整理されているので本もおススメです。