2020年は、残念ながら私の株式投資は年間でマイナスとなってしまいましたが、「上場株式等の譲渡損失」は「上場株式等の配当等」との損益通算が可能となりますので、2021年は、やはり高配当銘柄もポートフォリオの中に入れておくべきかと思い始めました。
■高配当銘柄候補
年末年始、いろいろ調べましたが、現時点の考えは、減配になる可能性が限りなく低そうな銘柄(=大株主が減配に反対しそうな銘柄)にしておきたいというものです。その結果、財務省が株式を保有する銘柄が良いのではないかとの結論になりました。
■NTT、JT、日本郵政
財務省のWEBサイトには、現在77.9兆円の政府出資をしており、うち22.6兆円は、特殊会社と呼ばれる企業への出資となっています。
(引用:財務省WEBサイト「政府保有株式の概要」政府出資の内訳(PDF:122KB) (令和2年11月20日更新))
■特殊会社一覧
特殊会社への出資総額22.6兆円のうち、NTT(3兆2千億円)、JT(1兆3千億円)、日本郵政(2兆2千億円)の上場している会社も含まれています。これら3社は、全て高配当銘柄として知られている企業です。
(引用:財務省WEBサイト「政府保有株式の概要」国有財産:政府保有株式について(PDF:194KB)(令和2年11月20日更新))
■法律による政府保有義務
NTTやJTは、もともと国有企業だったこともあり、法律により株式の保有比率や株式処分の方法等が定められています。そのため、NTTもJTもともに発行株式総数の1/3以上を保有する義務があり、これ以上は売れないことになっています。 これ以上売却する場合は、法改正が必要になります。
<日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和五十九年法律第八十五号)>
(株式)
第四条 政府は、常時、会社の発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。
<日本たばこ産業株式会社法(昭和五十九年法律第六十九号)>
(株式)
第二条 政府は、常時、日本たばこ産業株式会社(以下「会社」という。)が発行している株式(株主総会において決議することができる事項の全部について議決権を行使することができないものと定められた種類の株式を除く。以下この項において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。
尚、日本郵政の株式売却は、東日本大震災の復興財源として段階的に進められておりましたが、昨年売却期限が2022年度から5年間延長されることになりました。 かんぽ生命の保険の不適切な販売問題の影響で日本郵政の株価は低迷しており、上場直後一時1,999円の高値を付けた株価も現在では803円(20年12/30時点)となっており、さすがのこの株価では売れないと判断したということだと思います。
■財務省の配当収入
財務大臣は、NTT株式の32.3%、JT株の33.3%を保有しており、毎年多額の配当金を手に入れています。NTTからは約1,200億円、JTからは約1,000億円という莫大な金額になります。
これらの配当金は、一般会計とは別枠の「財政投融資特別会計」という特別会計の枠に入ります。一般会計は、国会での審議を経て決定されるので国民やメディアの目が届きやすいですが、特別会計は国会の議決は必要なものの、国民やメディアの目が届きにくくなっています。
財政投融資は財務省だけでなく他の省庁の官僚の天下り先の公益法人にも融資されるので、霞が関のお財布の財務省の影響力はとてつもなく大きくなります。財務省が、他の省庁よりも優位な立場に立てるこの約2,200億円の配当収入という美味しい財源を手放すとは考えづらく、NTTとJTの減配はほぼないのではないかと思います。
逆に減配になったら省益ではなく国益を考える官僚が出てきたということで喜ばしいことなのかもしれません。しかし、今の官僚は自分達のことしか考えてなさそうなので、やはり減配はないような気がします。
■まとめ
以上のことから、2021年はどっかのタイミングでJT株とNTT株を購入したいと思っています。可能であれば現在保有しているあさひ株が2月の決算発表前後で株価が上昇して、一部売却した資金で3月末までに購入出来ればいいなと思っています。