日本電産 永守さんのM&Aに対する考え方

2017年11月に経済産業省と独立行政法人経済産業研究所(RIETI)の共同によるクロスボーダーM&Aに関するシンポジウムが開催されました。

当時、私は会社のM&A部隊に所属していたのですが、冒頭に日本を代表するM&A巧者の日本電産の代表取締役会長兼社長(CEO)の永守さんの基調講演があるとのことで、なかなか直接お話を聞ける機会はないので、私も参加しました。

期待通り、話も面白く、また参考になる話がいろいろありましたので、その内容をご紹介したいと思います。

 

■ 日本電産のM&A戦略

  • 日本電産は、オーガニック50%、M&A50%の割合で成長してきた。現在の日本電産があるのはM&Aを上手く活用してきたため。
  • 日本電産のM&Aは規模拡大を狙ったものではない。競争力のある強い会社になるための成長戦略の一つとしてM&Aを活用(膨張戦略のためではない)。
  • 安い会社=倒産寸前の会社(倒産した会社は買わない)。再建が必要になるので労力が必要。
  • いい会社=高い会社ではない。安くても自社の戦略に合致したいい会社を見つけて買収してきた。

■M&Aを実行する際の成功要因

<価格>

  • 日本企業のM&Aは8割がた高値掴みしている(永守式企業価値評価なる独自の計算式による試算結果と比較する8割とのこと)
  • ディールを成立させて成功報酬を得たいFAが価格を吊り上げている一面あり。日本電産では、安く買えれば買えるほど成功報酬が高くなるFAへの報酬体系を採用している。
  • 但し、代替がないもの、かつ全体戦略には絶対に必要なピースとなる会社に関しては多少高い値段を出すこともやむを得ない。

<誰がPMIをやるか>

  • M&Aの成功要因は8割はPMI
  • PMIの目的=意識改革(業務を遂行する際の目線を変えさせることが重要)
  • 日本人が海外企業の経営陣としてPMIを主導するのは至難の技。米国の現地企業で日本人のCEOは見たことない(中国人、インド人はいるが・・)。そのため、日本電産では、経営は現地に権限委譲し、本社は株主の立場で経営に関与する。本社はサポーターとなり、何をやるべきか(目標設定)、現地の誰に任せるか、何に困っているかを判断することが仕事。目標達成出来ない場合は、必要に応じ経営陣を変える等、株主の権利を行使する。

<シナジー>

  • のれんの償却を考慮すると、シナジーを創出し利益を上乗せすることで償却以上の利益を出すことが必須。

■永守会長のM&Aに対する考え方

  • パズル方式:M&Aを検討する時は、全体戦略が重要。必要なピース必要な順番でそろえていかないとシナジーが出ない。
  • 城の石垣方式(または詰め物買収方式):大きなピースを買収した後は、それを補完する小さなピースを次に買収することで更なるシナジーを出していく。(大きな石垣をセットした後に小さな石を隙間に詰めていくやり方)
  • イチロー式:ホームランは狙わない。時価総額5%までの買収金額を上限としている。※12/25時点の日本電産時価総額は、約7.5兆円。そのため約3,750億円が買収金額の上限。
  • M&Aは辛抱の世界。16年間待ち続けて買収した会社もある。
  • トップマネジメントのコミットメントが最も重要。ハンズオンしビジョンを語ることが重要なのはもちろんだが、一方でマイクロマネジメントすることも重要。

 

以上が永守さんが語ったM&Aに対する考え方ですが、過去66件の実績、経験、知見から語られる話は非常に示唆に富んだものでした。

 

株式投資は会社の一部を買うのと同じと言われることもありますが、永守さんの話は日々の株式投資でも参考になりそうです。特に株価が高いからいい会社というわけではなくて、自分の中で企業価値算定をしっかり行い、それと比較して買う買わないを判断することが大切だなと改めて思いました。

 

在宅でリモートが当たり前になりつつあるので、今までよりもセミナーや講演会にも参加しやすくなってますので、来年もまた機会を見つけて参加したいと思います。

 

SBI証券[旧イー・トレード証券] SBI証券[旧イー・トレード証券]