昨日、家族で東京ディズニーシーに行ってきたのですが、駐車料金と今期のオリエンタルランドの赤字化の関係についてちょっと考えてみました。
■東京ディズニーリゾートの駐車料金
普通乗用車の駐車料金は、『平日:2,500円/土日祝日:3,000円』という非常に高額な価格設定です。駐車場にかかる費用は、多少のメンテと整備、スタッフの人件費程度で、たいして費用もかからず、舞浜の土地もかつて格安で仕入れた埋め立て地なので、この価格設定は強気だなと思います。
個人的には、平日1,000円、土日祝日2,000円というのが私の感覚的な許容範囲です。
■東京ディズニーリゾートの顧客満足度の低さ
私は以前から東京ディズニーリゾートにあまりいいイメージを持っておらず、駐車場の価格設定もそうですが、夢の国といいながら隙あらば顧客から金を取ろうというスタンスが特に好きではありませんでした。
また顧客満足度も低いと感じており、以前、家族でディズニーランドに行った時も、入園料が7,500円と非常に高いにも関わらず(尚、20年4/1から更に値上げして今は8,200円になっています)、混雑がひど過ぎてアトラクションに乗るのに2時間とか3時間は平気で待たされ、お昼ご飯やポップコーンを買うだけでも40分くらい並ばされた経験があり、二度と行きたいくないというのが個人的な感想でした。
また、そのような状況にもかかわらず、ディズニーという圧倒的なキャラクターブランドと信者のようなお客さんの寛容な態度に胡坐をかき、混雑状況を改善させるつもりもない経営陣に怒りすら覚えました。
ちなみにオリエンタルランドの20年3月期の有価証券報告書にには、『ゲスト満足度の向上に向けては、新規アトラクションやエンターテイメント、スペシャルイベントなどへの継続的な投資はもちろんのこと、暑さ・寒さに対する環境改善、レストランの環境改善、ゲストの待ち時間を削減する取組みなど、ハード・ソフト両面でさまざまな取組みを行ってまいりました。』と記載ありますが、本気で取り組んできたとは思えません。
そんな不誠実なところも、東京ディズニーリゾートがあまり好きでない理由だったのですが、今回コロナで思いっきり遊ぶことも出来ずストレスが溜まっている家族のため、あまり乗り気はしませんでしたが、家族のためならと久しぶりに行ってきました。
■入場制限による予想外の快適さ
東京ディズニーリゾートは、コロナ影響により6月末まで休園していましたが、7/1から入場者数を制限して再開。再開後は、当面入場者を1.5万人/日程度に抑えて感染対策を実施しながら運営するとのことでしたが、現在では3~4万人/日まで少しずつ増やしているようです。
再開直後から比べれば、入場者数は増えているようですが、それでも前回行った時とは比較にならないくらい空いていて、イライラすることもなくある程度快適に過ごすことが出来ました。コロナのおかげで私個人の顧客満足度は多少上がった気がします。
■2021年3月期入園者数見込み
そんな東京ディズニーリゾートですが、10/29に発表されたオリエンタルランドの21年3月期2Q決算説明では、通期見込みも発表されており、上期の休園と入場制限で対前年-67.3%の950万人になりそうとのこと(以下21年3月期2Q決算発表資料抜粋)。
前期の入園者数は20年3月がまるまる1ヶ月間休園となってしまったため、2013年~2018年まで6年連続続いていた3,000万人以上を割ってしまい、2,901万人となってしまいました。
また入園者数が減れば当然売上も増えないので、今期は赤字転落する見込みのようです。
■駐車場 年間売上高 180億円(20年3月期)→40億円(21年3月期)
駐車場の収容スペースは、約18,000台とのことなので、約18,000台×364日 = 約660万台分の駐車料金が年間売上として計上されていることになります。
駐車場代を平日と土日祝日の間の2,750円として、この台数にかけると、年間約180億円の売上となります。
つまり、かつて格安で仕入れた舞浜の埋め立て地に車を置かせてあげるだけで、前期は約180億円/年の売上があったのです。それが、今期は入園者数の激減により約40億円と激減してしまいました(車で来園する人も同じ割合で減少している前提)。
売上が約140億円も減少していますが、売上減のインパクト以上に損益に与える影響が大きいのではないかと思います。冒頭にも書いた通り、駐車場はコストがあまりかからず利益率は非常に高いと思います。今期のテーマパーク事業は、赤字見込みとなっていますが、前期営業利益率は約20%もあったのに、今期赤字になってしまうのは、駐車場からの利益が激減していることが大きな要因の一つなのではないかと思います。
(上記の試算は、入園者数の減少の割合で車で来園する人も減少する前提での試算なので、実施の金額インパクトはもう少し大きいかもしれません。)
■オリエンタルランドの株価
オリエンタルランドの株価は、今年の4月に年初来安値の11,250円をつけたものの、12/14には18,590円と年初来高値をつけています。なぜ上がっているのかよく理解出来ませんが、コロナが収束するまでは入場制限があるので経営的に厳しいと思いますし、一方コロナが収束したらしたで、また1日の入場者数がコロナ前同様7万人/日とかになって待ち時間が長くなって私の顧客満足度は下がることは間違いないので、個人的には株を買うことはないかなーという感じです。