任天堂 岩田さんのリストラに対する考え方

週末は株式市場がお休みなので、最近読んだニュースで感じたことを書きたいと思います。 

■ANA、冬のボーナスをゼロにすることを組合と合意

先日、コロナ禍で大変な状況にあるANAが冬のボーナスをゼロとすることを組合と合意したと報道されていました。

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経営状況が大変なのことは組合も理解しており、社員も受け入れざるを得ない状況だったのだと思います。

サラリーマンにとってボーナスは、毎月の給料とは違った特別な楽しみの一つで、それが全くでないというのはショックは大きいと思います。また住宅ローンを組んでいる人には、年2回もらえる前提で返済計画を立るので、ゼロになるというのは返済計画にも大きな影響が出るためライフプランにおけるインパクトは大です。

 

■五輪には追加支援するけども、、、

そんな中、五輪の大会組織委員会が、スポンサーに五輪の追加協賛金を要求し、ANAを始めJALや東武トップツアーズ等が協力方向で検討しているとのこと。ANAは、10億円を支援するようですが、このことをニュースで知った社員の皆さんは、どのような気持ちになったでしょうか?

ANAは、連結の従業員数が約45,000人ですが、この10億円の追加支援は見送りとし、たとえ10億円を45,000人で割ったたった20,000円程度でも冬のボーナスとして支給してあげれば、社員のモチベーションは多少なりとも上がると思います。金額の問題ではなく、気持ちの問題だと思います。五輪を支援する前に、一番身近な社員を支援してくれよ、と私だったら思います。

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例えこの支援金のコストが五輪を開催した時に大きなリターンとして売上や利益で返ってくるとしても、現在の社員の皆さんは、今をどう乗り切るかが最重要課題で、これでは会社と一体感を持って、難局を乗りきろうとはならないですよね。

 

■任天堂のリストラに対する考え方

このニュースを見た時に以前読んだ任天堂の株主総会での岩田社長の質疑応答を思い出しました。

残念ながら岩田さんは、2015年に55歳の若さでがんで亡くなってしまいましたが、亡くなる2年前の2013年6月の株主総会で、リストラについて株主からの質問に以下のように回答しています。

Q:昨年度、今年度の売上高は6000億円の水準まで下がっているが、2000年頃は、売上高が同じような水準でも十分な利益を上げている。昨年度、今年度と営業赤字になっているが、コスト構造が同じならその頃と同水準の利益を上げられたはずである。コスト高になっていたのであれば、リストラを行ったほうがよかったのではないか。
A:今のご質問は、第72期と第73期が営業赤字となったことに関して、過去に任天堂が同水準の売上高だった頃にはそれでも十分な利益が上がっていたのに、なぜ最近は利益が出なくなったのかという内容だと理解しました。
 これに関しては、最も分かりやすい一つの側面があります。これは外貨建ての売上高の推移です。一番上の色が付いている時期(2007年3月期)と一番下の2つの直近の営業赤字になってしまった2期(2012年3月期および2013年3月期)をご覧ください。左から2列目はドル建ての売上高で、(一番上の時期の)「2.8B」というのは28億ドルということです。(直近2期を表す)下の2つはそれぞれ29億ドルと26億ドルです。ここで一番上と下の為替レートを比べてみていただきたいのですが、この28億ドルや29億ドルという数字とこのレートを掛けて円建ての売上高が決まります。ですから、同じ規模のビジネスをたとえアメリカでしていても、円高ドル安になるとその分売上げは目減りすることがお分かりいただけるかと思います。任天堂の場合、基本的に開発をほとんど日本で行っているため、開発費用というのは大半が日本で発生いたします。部品の仕入れ等については極力ドル建てにする努力をしているため、ドル安の恩恵も一部分は受けられますが、全般として円高ドル安は業績に悪影響を与えます。右側のユーロ建ての売上高についても、2007年3月期は17億ユーロ、2012年3月期は20億ユーロ、2013年3月期には15億ユーロとなっております。一番右の欄がユーロの為替レートですが、1ユーロ=150円の時代であった2007年3月期と昨今とでは全く事業環境が違います。このように、まず一つの大きな側面として、為替の影響があるということはご理解ください。先ほど申しあげたように、ドルの部分に関しては仕入れをドル建てにすることによって幾分その影響を相殺できるのですが、ユーロについてはユーロ建ての支払いを受けてくださるパートナーの方が非常に限られますので、努力は進めておりますが、現実にはまだあまり多くありません。

 それから、もう一つ当時と違うのは、任天堂の社員数です。私どもが開発をする上で必要な開発人員の規模というのは、やはり以前より大きくなっています。これは、ゲーム機がそれだけ複雑で高度な製品になったため、仕上げに必要な総人的パワーというのが当時と全く変わってきているためです。ですから、そのために社員の数が増えていて、費用が前よりかかっています。このほかにも、例えばソフトが複雑になったことにより、現地向けに英語や他の言語に変換するローカライズという作業に必要なコストも増えてまいります。

 では「なぜリストラをしないのか」ということですが、私たちは、どうしても数年サイクルで山と谷のあるビジネスをしております。もちろん、谷のときにもしっかり利益を出せて株主の皆様にしっかり還元し、株価が高い状態が維持されるというのが理想で、そこを目指すべきであるということには全くそのとおりだと思っております。ただ、短期の業績を求めてリストラをいたしますと、会社で働く人たちのモラール(士気)は下がり、その人たちが不安に怯えながら作ったソフトが本当に世の中の人の心を動かせるのかということがございます。私は、今の事業構造のままで、これからの為替のトレンドや今後のプラットフォームの普及度合いから考えて、しっかりと利益を出せる状態に変えていくことができると思っております。もちろん、無駄な経費を削減し、効率的な方法を追求するのは当然です。また、世の中ではリストラとして「たくさんの人の首を切ることによって業績を回復させる」ということもよく言われますけれども、任天堂では、それぞれの分野の社員が、それぞれの仕事の中身で貢献をして今の全体としての姿がありますので、その一部だけを取り出して会社(の業績)が厳しいので会社を去ってほしい」とするのは、長期的に当社の力を強めることにならないと思っております。あくまで無駄な経費を削減し、より効率的な運営をするという方向性で、費用に見合った成果を出していきたいと考えております。ありがとうございました。

(任天堂WEBサイト IRページから引用)

www.nintendo.co.jp

最初に背景を数字でしっかりと説明した後に、その後、リストラに対する考え方を説明しています。これを聞いた社員の皆さんは、安心し仕事に集中でき、またそのような環境を提供してくれる会社に対して、もっと貢献して、しっかりと恩返しをしなければと思うのではないでしょうか?これは株主に対してのコメントですが、同時に社員に対してのメッセージの意味合いもあるのだと思います。

 

■現在の任天堂の好調は岩田さんの功績かもしれません

岩田さんの人柄については、以前ブログで紹介した「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた」をご覧いただければと思いますが、このような社長の下で働ける社員は幸せですね。

今の任天堂の好調があるのは、コロナ禍の巣ごもり需要という外部環境の変化もあるかもしれませんが、その環境変化をしっかりとキャッチ出来る体制を作り上げていた岩田さんの功績だと思います。

www.white-crow.xyz

 

■一方、ANAの社員の皆さんは、、、

一方、経営危機になったらすぐに人件費に手を出してしまう社長のもとで働かなければならないANAの社員の皆さんは不幸だなと思います。このままだと給料の安い若手ほどどんどん辞めてしまい、10年ほど経った時に会社の経営を担う中堅の人材が不在という事態に陥る可能性が高いと思います。岩田さんと違い、ANAの社長には長期的な視点で経営するという能力が欠けているのかもしれません。

 

■結論:来年任天堂の株を買います!

今回のブログを書いていて、改めて任天堂の魅力を感じ、やっぱり任天堂の株を買いたい、と思ってしまいました。今はあさひと日本信号のナンピン買いのタイミングをしくじり含み損があるので無理ですが、来年どっかのタイミングで必ず購入します!

 

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