インフォコム 中期経営計画2020-22 ~ 電子コミック市場の将来性

週末は株式市場がお休みなので、最近気になっている会社の株を購入するかどうか検討した結果をご紹介します。

■電子コミック市場

最近、コロナ影響で家で過ごす時間が増えているのですが、奥さんが電子コミックにハマっておりまして、テレビCMでおなじみの「めちゃコミック」を展開するインフォコムについて調べてみました。

ちょうど6月に中期経営計画を発表しておりまして、その中で電子コミック市場の予測を以下のように予測しておりました。

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同社は、2020-22年度の3年間の年平均市場成長率(CAGR)を11.9%と非常に大きな伸びと予測しており、コロナ禍での新たな生活スタイルが浸透し、電子で漫画を読む習慣が定着することで、更に上振れる可能性もあり、と見ているようです。

 

■インフォコム社

インフォコムは、帝人が株式の55.1%を保有する業界首位級の電子コミックを配信するネットビジネスと、オンラインヘルスケア事業を中心としたITサービスを展開している企業です。

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2019年度までは、11期連続で増収を達成しており、19年度売上は583億円、うち電子コミック事業の売上は326億円と全体の56%を占めています。業界自体が伸びているので、電子コミック事業が占める存在感はますます高まっていくと予想されます。

 

■インフォコム社 電子コミック事業戦略

インフォコム社の重点戦略は下記スライドに記載の3点です。

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上記3点の中で、一つ目にオリジナルコミックの拡充を挙げていますが、他社との差別化を図る重要なポイントだと思います。オリジナルコンテンツを制作し、読者の囲い込みが出来れば、ネットフリックスのような圧倒的な競争優位性を築ける可能性があるのではないかと思うのです。

toyokeizai.net

■紙の出版物とオンライン配信の違い

従来の漫画コミック業界は、出版社が担当編集者をつけて漫画家を育てていくというやり方で独占していましたが、オンラインであれば、とりあえず脈がありそうな新人漫画家の作品をどんどん配信して、顧客に刺さった作品をピックアップしてブラッシュアップしていくというやり方でヒット作が出る可能性も高いのではないかと思います。

私は前職が印刷会社の営業だったのですが、紙媒体の出版は、校正~製版~印刷~加工~配送とさまざまな工程があり、大量ロットでの生産を基本としています。工程が長く、時間とコストが非常にかかるため、試しに発売してみて様子を見て売れゆきが良ければ追加で製造する、というやり方は適していませんでした。

また、ニッチな顧客をターゲットとした作品の場合、製造ロットが少なく、製造単価が高くなってしまい採算割れをしてしまうか、販売価格を高くせざるを得ず売れないことが多く、商売として成立しにくいという欠点もありました。

一方、オンラインであれば、校正の工程は同じですが、その後の製版から発送までの工程が不要となります。そのため、どんどん配信してトライ&エラーで軌道修正しながらヒット作を生み出すことが出来るのではないかと思うのです。

 

また将来的には、漫画のストーリーを複数パターン用意しておき、ユーザーが過去に読んだ漫画の好みに合わせたバージョンのストーリーを配信したり、過去の読書履歴からユーザーの好きそうな漫画をおススメするレコメンデーション機能を充実させる等、可能性はいろいろあるのではないかと思います。

 

■インフォコム 20年3月期決算概要

上記のようにインフォコムの主戦場の電子コミック市場の将来性は魅力的ですが、現在のインフォコムの業績がどうかという点も確認してみました。以下は、20年3月期の業績と財務状況です。

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20年3月期の売上は絶好調で、対前年で伸長しているだけでなく、営業利益率は14.1%と稼ぐ力も強く、ROEも16.2%と高い数値となっております。

 

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現預金も235億円と総資産の半分以上を占めており、借入金等の有利子負債もありません。自己資本比率は74.4%と非常に高く財務体質は盤石です。

 

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FCFも順調に積み上がっています。配当利回りは1%程度と株主還元率はイマイチですが、成長ステージの企業なので、配当するよりも再投資することで電子コミック業界の伸びを上回る成長を期待したいので個人的には全く問題なしです。

 

■インフォコム 株式購入検討結果

将来的な電子コミック市場の伸びも期待出来ますし、財務体質も強固なので、ぜひ買いたいところなのですが、先週水~金と3日間で株価が400円ほど下がってますし、今週10/28には4-9月決算発表も控えてますので、とりあえず来週のアメリカ大統領選挙が終わるまでは様子をみて、その後タイミングをみて購入したいと考えています。

10/23終値は3,850円なのですが、私の自己流Valuationでの理論株価は、PL・BSベースでは1,600円、DCFだと3,900円くらいと見ているので、可能であれば3,000円台前半で購入出来たらいいなと思っています。

 

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