「紳竜の研究」 楽しく戦略論とマーケティングを勉強する方法

週末は株式市場がお休みなので、過去にみたお勧めの動画を紹介します。

■紳竜の研究 [DVD] 島田紳助

2011年に反社勢力とのお付き合いで芸能界を引退した島田紳助が、かつて紳助・竜介という漫才コンビを組んでいたいことを知っている若い人も少なくなってきているのではないかと思います。

このDVDには、島田紳助がNSCの29期の若者達に行った成功の秘密を語った講義が収録されていますが、非常に戦略的で刺激的な内容です。

 

島田紳助は、漫才師になると決めた時、過去の様々な漫才を聞いて書き起こし、売れている人と売れてない人が何が違うのかを徹底的に分析したそうです。その中で、自分がこれから何をしたら売れるのか、どうしたら売れるのかを考え、そのために必要なタイプの相方を探したそうです。

相方に選んだ松本竜介には、コンビを組んでまず、島田紳助が何をしたいのか、目指すべき方向性を説明し、それを理解してもらうことから始めたそうです。それを理解してもらったうえで、トライ&エラーで経験と失敗を重ねて以下の理論をベースにして自分達の漫才を確立し人気を不動のものにしました。

 

■ターゲット

それまでの漫才は、子どもから年寄りまで老若男女、全ての人をターゲットにしており、セグメントを絞って漫才をすることはしていませんでした。そんな中、島田紳助は、自分達のターゲットは、20-35歳の若い男性と狙いを定め、それに合わせてネタ作りをしたそうです。そして、狙っていない層にウケたとしても満足せず、テレビで見ている自分達がターゲットする層が笑ってくれることを常に意識しながら漫才をしていたとのこと。万人ウケするそこそこ面白い漫才師よりも、尖っていて一部の人からは反感を持たれても、ある一部の人から圧倒的に支持される漫才師を目指したそうです。

 

■競争回避の戦略

先日のブログでマイケル・ポーター先生の競争戦略は、競争回避の戦略と説明しましたが、ちょっと質は違いますが、島田紳助も同じようなことを言っています。漫才コンクールに、今の自分達の実力では勝てない相手がいる場合、中途半端な出来で負けるくらいなら勝負の場に立たないようにしていたそうです。

これは、宮本武蔵やヒクソン・グレイシーも同様の戦略を取っています。ヒクソンは、PRIDE 1で高田延彦に勝利し、前田日明が対戦要求をしていたにも関わらず、PRIDE 4で再び高田延彦と再戦することを選んだ点でも、敗れる可能性が少しでもある前田よりも一度勝っていて実力も分かっている高田を選んだのでしょう。結果、誰にも負けることなく400戦無敗という神秘性を持ったまま戦いの場からフェードアウトしていきました。

 

■内部環境・外部環境の徹底的な分析

成功するためには、X:自分の戦力(内部環境)とY:世の中の流れ(外部環境)を整理し、XとYを明確にしてから、自分がどのように戦うのかを悩まなければいけないとのこと。これは非常に戦略論的です。

ビジネススクールで戦略論を勉強した際にも、内部環境分析(3C分析、SWOT分析)や外部環境分析(5Forces分析、PEST分析、VRIO分析)の重要性を学びましたが、島田紳助が言っていることは、まさにそのものです。

そして、一発屋が売れる理由もこのXとYで説明しています。ずっとXをやってきた芸人の芸に、たまたま時代の変化のYがぶつかり、出会いがしらの事故が起きることを一発屋と言っています。一発屋はYを理解した上でXをやったわけではないので、なぜ売れたかが理解出来ません。なので、Yがさらに変化するとそれについていくことが出来ず、また売れなくなるという非常にロジカルな説明です。素晴らしいですね。

 

このDVDで、上記以外にも様々な成功のコツを披露してくれており、自分の成功の秘密を体系化し説明してくれています。これは芸能界で成功している人が実践してきた成功のコツという暗黙知を形式知化したものです。まさに野中郁次郎先生の知識創造論のSECIモデルにほかなりません。

 

個人的には、島田紳助は好きではなかったのですが、これほどロジカルに自分のポジショニングをしてきた頭のいい方が、2000年以降、日本の社会がコンプライアンス違反に非常に厳しくなっていった外部環境(Y)の変化に対応していくことが出来なかった点は残念です。暴力団との付き合いを自分の中ではセーフだと思っていたと引退会見で言っていましたが、環境の変化の度合いを読み間違え本気でそう思っていたのか、それともアウトだとわかっていたけどズブズブの関係になりすぎて付き合い方を変えることが出来なったのか、、、頭のいい方なので個人的には後者のような気がします。

  

 

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