仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン

週末は株式市場がお休みなので、過去に読んだお勧めの本を紹介します。

 

■ 仕事人生のリセットボタン: 転機のレッスン – 為末 大 (著), 中原 淳 (著)

中原淳さんは、数多くの著書を出版している人材開発を専門とする研究者です。

この本では、"走る哲学者"とも呼ばれることがある一流アスリートの為末大さんと長期化する仕事人生におけるリセットボタン(=現在の会社で働くことの意味や意義を一旦立ち止まって考えなおすこと)について議論しています。

アスリートは、短い競技人生と引退後の人生という2つの人生を抱えなければならず、必ずリセットボタンを押さざるをえないタイミングがやってきます。この本では、以下の構成で、アスリートの生き方から長期化するビジネスパーソンの仕事人生を考えています。

  1. 仕事人生が長期化する社会的背景
  2. 為末さんの陸上キャリアの振り返り1(学生時代)
  3. 為末さんの陸上キャリアの振り返り2(社会人時代~独立プロ~引退後)
  4. 上記1-3を踏まえた上でのリセットボタンとの付き合い方

為末さんのキャリア振り返りを読むと、この方は非常に戦略的に自分のポジショニングを築いてきた頭のいい方だということがわかります。100mから400mハードルに転向した理由も、身体能力の差が大きく影響する100mでは黒人選手には勝てないが、身体能力の差を技術である程度カバー出来る400mハードルであれば日本人でも勝てる可能性があると考えたからだそうです。引退後も、自分が指導者や解説者になれる確率等、元アスリートを取り巻く外部環境を冷静に分析しており、その中で自分の付加価値をどのように出し差別化していくか、また誰をターゲット(スポーツの考え方を言語化して楽しむのが好きな層をターゲットにしているそうです)にして活動していくか考えたといいます。

オリンピックで金メダルを取った元アスリートでもタレントとしては成功せず、すぐに消えてしまう方もたくさんいますが、この本を読むと、為末さんがなぜメディアに出続けることが出来ているのかがわかります。引退後は、賞味期限が数年で切れてしまう現役時代の実績よりも、如何に戦略的に自分のポジショニングを確立するかの方が重要なのでしょう。

この本では、ポジショニングの考え方だけでなく、為末さんが人生の様々なシーンでどのような戦略に基づいて意思決定してきたかや現在ご自身で経営されている会社のマネジメント手法について語られており、中原さんがそれらをアカデミックな観点で解説してくれているので非常に参考になるのでお勧めです。 

 

 

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